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医療法関連コラム

医療機関の事業多角化:法務リスクを回避して利益を最大化

「保険診療だけでなく、美容皮膚科を併設したい」「独自のサプリメントを全国に届けたい」「オンラインで完結する専門外来を作りたい」 現在、多くのクリニックが診療報酬改定の影響を受けない「収益の多角化」を模索しているように思います。

しかし、医療機関の収益の多角化に、医療法の規制からして難しい側面があるのは事実です。それを正しく理解せずに事業の多角化を進めると、大きなサンクションを課されるリスクがあります。

本記事では、事業多角化を成功させるための「法的な仕分け」と、リスク回避のための一つの案を説明していきたいと思います。

 

  1. 多角化の第一歩:「医療法人」でできること・できないこと

医療法人が行える業務は、医療法第42条(本来業務・附帯業務・収益業務の原則禁止)によって厳格に定められています。

►医療法人の枠内でできる事業(附帯業務)

    • 介護保険法に基づく介護サービス(デイサービス、訪問介護など)
    • 医師・看護師等の養成、教育
    • 研究所の設置
    • 病児保育、老人保健施設の運営

 

►医療法人の枠外となる事業(収益業務)

  • サプリメントや化粧品の一般向け販売(窓口販売以外)
  • 飲食店、フィットネスジムの運営
  • 一般向け不動産開発
  • 医師向けの経営コンサルティング、広告代理業

 

【結論】
医療法人の業務範囲外の事業を行いたい場合は、別法人(MS法人や一般社団法人)を用いるのが一般的です。

  1. 人気の多角化メニュー別:最適な法人スキーム

当事務所に寄せられる相談の多い4つのケースについて、法的な最適解を示します。

① 美容・自費診療の拡大

  • 課題:広告制限が厳しく、どのようなマーケティングや広告戦略を採ればいいのかわからない。
  • 解決策:診療自体は医療法人が行いますが、マーケット分析や広告戦略等をMS法人に委託します。マーケティングや広告を専門とするMS法人がマーケティング戦略や広報戦略を担うことで、適法かつ柔軟な訴求が可能になる場合があります。

② オンライン診療・D2C(物販)

  • 課題:全国から注文が入るサプリメント販売は、医療法人の業務範囲を超えてしまう。
  • 解決策:医療法人は「診察」「(院内)処方」を行い、推奨されるサプリメントの販売・配送等はMS法人または一般社団法人が行うスキームを構築します。これにより、在庫リスクや物流コストを医療法人から切り離せます。

③ 医療教育・セミナー事業

  • 課題:独自の治療技術を他の医師に教え、受講料を取りたい。
  • 解決策:一般社団法人を設立し、「〇〇治療普及協会」といった名称で活動します。学会に近い公的な立ち位置を築くことで、受講生の信頼を獲得しやすくなります。

④ 介護・福祉事業への参入

  • 課題:投資規模が大きく、医療法人の資産を圧迫したくない。
  • 解決策:医療法人が直接行うのではなく、別法人(株式会社等)を立てて介護事業を運営します。医療法人は「主治医」として連携し、往診報酬を得ることで、法人間の相乗効果(シナジー)を最大化します。

 

  1. 多角化を阻む「支配」と「不当誘引」の罠

多角化を進める際、特に警戒すべきなのが以下の2点です。

  1. 支配:MS法人が主導権を握りすぎ、実質的に「株式会社が医療機関を支配している」とみなされると、医療法違反となりえます。医療機関の意思決定の主体はあくまで医療機関になければなりません。

  1. 不当な患者誘引:「サプリを買えば診察料を割引く」といった抱き合わせ販売や、紹介料の支払いは、健康保険法(療養担当規則)や医療広告ガイドラインに抵触する場合があります。法人間の取引は、常に「適正な市場価格」に基づいた契約書が必要です。

 

まとめ:攻めの多角化には、守りのリーガルチェックを

多角化は、医療機関が収益を上げるための有力な方法の一つではあるでしょう。ただ、土台となる法務スキームが脆ければ、リスクも膨らみます。

「この新規事業、今の法人でやって大丈夫?」 「行政機関から指摘を受けない適法な進め方は?」
そんな疑問をお持ちの理事長先生、ぜひ一度ご相談ください。

病院・クリニックの方からのご相談は初回無料で承っております。
また、医院に出向いての出張相談にも対応いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。

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