医療法人の支配権争い
社員という地位
医療法上、医療法人においては、理事とは別に「社員」という法的地位が認められており、設立されたばかりの規模が小さい医療法人においては、理事長の親族(妻や弟等)が社員となっているケースが多く見受けられます。社員は、法律上、医療法人の構成員であり、医療法人の社員総会における議決権を有し、医療法人の経営における重要事項について決定することができます。社員総会は医療法人内における最高意思決定機関であると考えられますので、社員はその最高意思決定機関の構成員という位置付けになります。
社員という地位に関する問題点
社員は、議決権を1人1個有しており(つまり出資金額と議決権の数が全く比例しません。)、かつ社員への就任や退任には社員総会の承認が必要となる(公開株式のように市場で購入すればよいというものではないです。)という点に特殊性が認められます。
また、社員という地位と医療法人に対する(例えば設立資金等の)出資は全く連動していないため、医療法人に対して出資していても社員になれるわけではないですし、出資していなくても社員総会で承認さえされてしまえば社員になることができます。
このような特殊性があるため、医療法人の運営に多額の資金を拠出している人物や、医療法人の創業から事業拡大等に多大な功績を有している人物等、医療法人の経営に貢献度が高い人物であっても、社員総会の過半数を押さえない限り、場合によっては社員総会の決議で医療法人から追い出される危険があります。
このような事態を避けるためには、社員総会の議事録の作成と保存、社員名簿の管理、定款内容の修正等の行為を行う必要があるのですが、現存する医療法人においては、社員入社の際の社員総会議事録の作成・保存、社員名簿の管理、定款の条項の精査といったことが適切に行われていないことが非常に多く、後日紛争が発生した際、医療法人の存続を揺るがすような大問題に発展することもあります。
弁護士によるサポート
医療法人の支配権に関する紛争を実際に経験している弁護士は、医療法人の経営者が日々の経営においてどのような点に注意し、仮に支配権に関する問題が起きそうな可能性が出てきた場合、それを未然に防ぐためにどのような法的措置を行っておけばよいかを適切に判断することが可能です。
料金
着手金20万円~
顧問契約
医療法人の経営は、日々刻々と変化しており、社員の入退社(それに伴い理事や監事の選解任も行われることもあります。)医療法人の運営が続く限り、行われていきます。そのような医療法人において、医療法人の支配権に関する問題点を適切に処理するためには、医療法人の日々の経営に寄り添う必要性が極めて高いです(定期的に開催される理事会、社員総会の運営や社員名簿の管理、決算書類や登記簿の精査と理事の任期の確認や再選任のための手続きの履行・記録の作成等は、医療法人の経営そのものに継続的に関わることが必須であり、医療法人の顧問税理士や会計士との連携等)。
そのようなことについて、日常的に相談できる存在をお探しの方は、是非当事務所との顧問契約をご検討いただければと思います。
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