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医療法関連コラム

一般社団法人の使い方

「研究会を組織化したい」「自費診療のスクールを立ち上げたい」と考えたとき、かつてはMS法人(株式会社)を作るのが一般的だったように思います。

しかし、最近では「一般社団法人」を選択する医師の方も増えています。一般社団法人で診療所を開設し、医行為を行う事も可能ですが、医行為と近接してはいるものの、医行為を行う以外の用途もあります。

本記事では、これら2つの法人の違いと、使い分けの案を解説します。

 

MS法人(株式会社)と一般社団法人の比較表

MS法人と一般社団法人を比較すると概ね、以下のようになります。

比較項目 株式会社 一般社団法人
法人の目的 営利法人
(利益を追求し、構成員に分配する)
非営利法人
(目的は自由だが、利益の分配は行わない)
設立人数(最低) 1名(発起人1名) 2名(社員2名)
設立費用(実費) 約20万〜25万円
(登録免許税15万円〜、
定款認証代など)
約11万〜12万円
(登録免許税6万円、定款認証代など)
資本金・出資金 必要(1円以上) 不要(0円で設立可能)
構成員の呼び方 株主 社員(※従業員ではなく会員・議決権者)
利益の配当 可能(株主へ配当金として分配できる) 不可(利益が出ても社員への分配は法律上禁止)
役員の任期 原則2年(非公開会社は最長10年まで延長可) 理事:原則2年
監事:原則4年(短縮・延長不可)
最高意思決定機関 株主総会 社員総会
議決権の割合 株式の保有数(出資金額)に応じる 原則として1人1票(頭数による平等)
税制上の優遇 なし(すべての所得に課税) 条件を満たし「非営利型」になれば、収益事業以外の所得が非課税になる
解散時の残余財産 株主の出資比率に応じて分配 定款で定めた帰属先、または国・自治体等に寄付(社員への分配は不可)

 

一般社団法人を選ぶ際の3つの視点

MS法人と比較した場合の一般社団法人の特徴は以下のようになろうかと思います。

① 剰余金の配当禁止と非営利性の担保

一般社団法人は、法律上、社員への利益の配当が禁止されています。そのため、例えば、医療法人から一般社団法人に業務委託費を支払っても「利益の分配」と評価されづらく、行政機関からのペナルティや指摘を受けるリスクを下げられます。公益法人である医療法人との親和性も高いです。

② 意思決定が「出金額」ではなく「頭数」

MS法人(株式会社等)では、 お金を多く出資した人が議決権を多く持ち、主導権を握ります。これに対して、一般社団法人は、 原則として「1人1票(社員1頭数1議決権)」です。複数の医師や医療機関が共同で事業を行う際、出金額の多寡に関わらず対等な立場で運営できるため、トラブルが起きにくく協力関係を築きやすいというメリットがあります。

③ 「非営利型」にした場合の税制優遇

一般社団法人は、一定の要件を満たして「非営利型一般社団法人」になると、税制上の扱いがガラリと変わります。まず、収益事業(物品販売など)以外の所得には法人税がかかりません。また、会員からの会費や、非営利目的の寄付金、助成金などが非課税になるため、共同事業や研究開発の資金をプールしやすくなります。

 

 役割分担

実は、どちらか一方を選ぶのではなく、「医療法人(診療用)」と「一般社団法人(事業用)」を併用し、役割分担させることもありえます。

役割分担の例

  • 医療法人: 保険診療・自費診療を行い、地域医療を支える。
  • 一般社団法人: 独自の治療メソッドを全国の医師に教える「アカデミー」を運営し、受講料や認定資格の発行、関連製品の販売を行う。学会の運営、共同購買(医薬品や医療機器の共同仕入れ)、共同での研究開発や臨床試験のデータ管理を行う。

このように切り分けることで、医療法人の「非営利性」を守りつつ、一般社団法人で比較的自由な収益活動を行い、グループ全体のキャッシュフローを最大化したり、複数の医療関係者が対等な立場で参画するプラットフォームを作ることが可能になるわけです。

 

まとめ

「とにかく節税したい」のであればMS法人(株式会社)が向いているかもしれません。

しかし、「自らの医療哲学を広めたい」「学術的な権威性を持ちつつ、柔軟に事業を展開したい」「複数の医療関係者が対等な立場で参画するプラットフォームを作る」のであれば、一般社団法人は有力な選択肢となります。

当事務所では、先生が実現したい事業内容をヒアリングし、医療法・会社法・一般社団法人法・租税法の観点から、最適な法人の組み合わせをオーダーメイドで設計します。

 

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