MS法人の取締役による競業避止義務違反等を理由とする損害賠償請求事例
相談内容、事件の背景
医療法人と株式会社(MS法人)を夫婦で役員となって経営していたところ、夫が別法人を設立し、MS法人の取引先を移そうとしていることが判明したため、どのように対応すべきかとのご相談を受けました。
夫婦で株式会社(MS法人)を経営していましたが、夫の不貞を契機として夫婦関係が悪化。その後、取締役であった夫が不貞相手と別法人を設立し、その法人にMS法人の取引先を移そうと画策し、一部については実際に取引先の移転を進めていたことが調査の結果判明しました。
そこで、取締役の任務懈怠(競業避止義務違反)等を理由として、取締役である夫に対する損害賠償請求を行いました。
依頼者の属性(業種、業態、従業員数等)
株式会社(MS法人)
事務所として行ったこと
夫が設立した法人の登記簿を取得し、役員構成等を調査しました。
また、夫が取引先と面談した際に同席していた従業員等から、面談時の状況について聴取し、関連する証拠資料を収集・分析しました。
さらに、契約の解約を申し入れてきた取引先に対して株式会社(MS法人)の代表取締役から連絡を行い、事情を確認するなど、関係者からの情報収集も進めました。
加えて、株式会社の株主総会議事録をすべて確認し、精査しました。
結果
請求が認容されました。
解決までの期間、コスト
約5年
解決に至ったポイント、留意点等
本件では、複数の関連事件が併合されたこともあり、紛争は長期にわたりました。
競業避止義務違反との関係では、取締役が代表取締役に秘して新たに設立した会社について、その事業内容を詳細に調査し、MS法人との間でどの事業が競合し、どの事業が競合していないのかを、証拠に基づいて丁寧に立証しました。
また、当該競業行為について、株主総会等において承認決議が一切なされていなかったことに加え、黙示の承認があったと評価できる事実も存在しないことを主張・立証しました。
損害額についても、契約書上の金額や、そこから控除すべき経費等を踏まえ、数年分にわたる大量の帳簿資料を精査して具体的な損害額を算定し、主張しました。
なお、被告が設立した法人に対する調査嘱託については、回答を拒否された事項も多数あったため、関係者へのヒアリングやその他の資料・情報の収集を積み重ねながら、事実関係の立証を進めました。
長期にわたる紛争の中でも、依頼者様が関係者へのヒアリングや情報収集に最後まで尽力されたことも、請求認容という結果につながった重要な要素となりました。

