説明義務違反があり、患者が精神的苦痛を受けたとして損害賠償を受けた事例
相談内容、事件の背景
医師が診療行為を行った際、説明義務違反があり、患者が精神的苦痛を受けたとして損害賠償を受けた事例
依頼者の属性(業種、業態、従業員数等)
医師(開業医)
事務所として行ったこと
患者からの損害賠償請求に対し、協議の段階では『医師に説明義務違反はなかった』との立場を明らかにする回答書面を送付しました。
その後、訴訟対応を行いました。
結果
医師に説明義務違反があったことは肯定せず、患者の請求額を大きく減額した金額で和解を成立させました。
解決までの期間、コスト
訴訟が提起されてから和解成立まで、約1年間
解決に至ったポイント、留意点等
本件では、患者の受診から請求までに時間が経過していたことや、カルテの記載が最小限にとどまっていたことから、説明義務違反がなかったことを裏付ける十分な証拠があるとはいえませんでした。
そこで、カルテや問診票の内容を丁寧に検討し、説明義務違反が存在しないこと、さらに診療行為と患者が主張する損害との因果関係がないことを主張しました。
診療の現場では、医師が患者にどのような説明を行い、患者が同意したかどうかを確認するには、カルテの記録や同意書が重要な証拠となります。
患者から「同意していない治療を強要された」「主訴と異なる治療をされた」といった主張がなされるトラブルを防ぐためには、単に説明義務を果たすだけでなく、日頃からカルテにできる限り詳細な記録を残すこと、さらに同意書を活用して患者の同意を明確に残しておくことが大切です。