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医療法関連コラム

医療法人の理事を解任させる方法

医療法人において、理事長の親族(妻、夫や兄弟等)が社員や理事の地位を占めている場合がしばしば見られます。親族の仲が円満かつ医療法人の経営も順調であれば問題はありません。しかし、経営方針の違い、後継者をめぐる争いや親族間の不和が生じた場合、支配権争いとして、理事の解任や社員の退社に至ることは少なくありません。

医療法人の理事とは

医療法人における「理事」とは、医療法人の社員総会によって選任される役員です(医療法46条の5第1項、同第2項)。

「社員」と「理事」の地位を兼任していることも少なくないことから、社員=理事と勘違いされることもありますが、医療法人の構成員である「社員」と、役員である「理事」は別物です。

社員総会は、医療法人の経営の重要な事項を決定する最高意思決定機関であるのに対し、理事会は、医療法人の業務執行の決定、理事の職務の執行の監督、理事長の選出及び解職(医療法46条の7第2項)といった職務執行機関という違いもあります。

医療法人の理事を解任する手続

医療法人の理事は、社員総会の決議を経ることで、いつでも解任することが可能です(医療法46条の5の2第1項)。ただし、任期途中の解任の場合、解任に「正当な理由」がないとして、当該理事から損害賠償の請求をされることがあります(医療法46条の5の2第2項)。

そして、理事を含む役員解任の社員総会の決議は、総社員の過半数の出席かつ出席者の議決権の過半数の賛成(定款に別段の定めがある場合を除く。)が必要になります(医療法46条の3の3第2項、同3項)。

注意すべきこととして、医療法人の社員は、株式の保有割合に応じて議決権が与えられる株主会社における株主総会とは異なり、1人1議決権です(医療法46条の3の3第1項)。このため、理事解任の決議前に、根回しあるいは社員の入退社により、当該理事解任に賛成する社員で半数以上を占めておかなければなりません。

理事解任への対抗手段

このように、理事解任の決議をするためには議決権の過半数を取得する必要があることから、理事解任を阻止する側は、賛成が過半数とならないよう、社員が反対票を投じることを第一の目的とすることが通常です。

それでも理事解任の決議がされてしまった場合は、手続の不備などを理由に、社員総会決議不存在確認の訴えといった裁判手続をすることも考えられます。理事を解任したい医療法人としては、招集通知は適切に行われているか、また自らの定款に従った手続を履行しているか等不備がないよう十分に配慮することが重要です。

弁護士によるサポート

支配権争いが顕在化した場合や裁判手続に移行した場合の対応はもちろんのこと、このような事態を防止する観点から、日々の経営の適正判断や定款条項の精査等を行うことが可能です。

 

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