医療広告のリーガルチェック
法改正で医療広告も規制の対象に
平成29年の医療法改正によって、医療広告規制の対象となる広告の範囲が拡大されました。
従来、厚生労働省のガイドラインでは、医療機関のWebサイトや院内のパンフレットは、バナー広告などを除いて広告には該当していませんでしたが、今回の改正では、医療機関のWebサイトなどに虚偽や誇大な内容があるなど不適切な表示や表現に対しては、是正命令(医療法6条の8第2項)や罰則(同法87条1号)を課すことができるようになっています。
規制強化の背景に美容業界などのトラブル増
今回の広告規制対象の範囲拡大の背景には、美容整形手術などをめぐるトラブルの急増が挙げられます。これまで医療機関のWebサイトは、当該医療機関等の情報を得る目的で閲覧されるものであり、あくまで「情報提供」や「広報」として取り扱われていました。
しかし、美容エステサロンのWebサイトで、治療前後の写真を加工したり、事実と異なったりするような表現が使われたりするなど、掲載情報と実際との齟齬から生じるトラブルは年々増加しています。こうしたことから、美容機関のみならず、医療機関等全般に対する広告規制対象の範囲拡大など規制強化の流れになりました。
また、公式ホームページや院内のパンフレットだけではなく、SNSなどでの情報発信も、患者さんを誘引する目的があると判断されるものは全て、この医療広告規制に従わなければなりません。
厚生労働省が公表した医療広告ガイドラインによる定め
医療機関のWebサイトについては、厚生労働省が平成30年に公表した「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」に定めがあり、医療機関が広告してはならないと定められている内容(いわゆる「広告禁止事項」)としては以下のようなものあげられます。
①内容が虚偽にわたる広告(虚偽広告)
②他の病院又は診療所と比較して優良である旨の公告(比較優良広告)
③誇大な広告(誇大広告)
④患者等の主観に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談
⑤いわゆるビフォーアフター写真等(治療の内容又は効果について患者等を誤認させるおそれのないものは除く)
⑥公序良俗に反する内容の広告
医療広告禁止事項のより詳細な内容は、厚生労働省が平成30年に公表した「医療広告ガイドラインに関するQ&A」に記載されているところではありますが、その内容には未だ不明瞭な点が存在し、広告禁止事項の範囲は必ずしも明らかにはなっていないというのが現状です。
また、「医療広告」の定義、広告可能事項の限定解除による広告可能事項の範囲についても、固有の論点があり、医療広告が許されるか否かの判断が難しい場合もございます。
更に、医療機関が行う広告に対しては、景品表示法、薬機法等の様々な法律やこれらの法律に関連する通達により制限がかかってくるのですが、これらの法令による広告規制も複雑で、医療広告が適法か否かを判断するには極めて専門的な判断が必要となります。
当事務所には、広告表現に精通した弁護士が在籍しております。是非ご相談ください。
料金(税別)
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