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医療法関連コラム

医療機関の定款/内部規約(又はマニュアル)の作成見直し

医療機関における契約はさまざま

医療機関においても、契約は経営上密接に関わる重要な要素です。

例えば、病院や診療所を開設するにあたり、土地や建物を賃借する場合には賃貸借契約を締結する必要があり、医療機器や医薬品を導入・購入する際には売買契約やリース契約等が締結されます。また、非常勤医師やスタッフを雇用する場合には、労働契約の締結が求められます。

このように、医療機関は日常的にさまざまな契約を締結しているはずですが、実際にはその契約内容について十分な注意が払われていないのが現状であると考えられます。

しかしながら、契約の内容が医療機関にとって不利であったり、内容に不備があったりした場合、将来的に予期せぬトラブルが発生するおそれがあります。こうしたリスクを回避するためにも、契約締結の段階で弁護士等の専門家の助言を受け、内容を慎重に検討することが極めて重要です。

定款

医療法人についてのルールは医療法が定めていますが、医療法は個別具体的なことまで規定してはいません。
医療法に定められていない事項については、定款に定められたとおりとなりますので、定款にどのように規定するかが非常に重要です。
定款とは医療法人を組織・運営する上で核となる事柄を定めた規程です。医療法人の名称や所在地など基本的な情報以外にも、役員の任期や選任方法、理事会の運営など、医療法人の運営に必要なルールを定めます。医療法人を運営する上で、この「定款」が大原則になります。
また、医療法人の場合には、他の法人などと異なる法規制がある場合があります。例えば、定款を変更するためには、社員総会(理事会)の決議を経て、更に都道府県知事の認可を受けなければならない場合があります。
以下のような場合には、定款変更の手続が必要となります。
新たに病院等を開設する場合
既存の診療所を移転する場合
既存の診療所を拡張する場合
既存の診療所を廃止する場合
新たに附帯業務を開設する場合
既存の附帯業務を廃止する場合   など
医療法人の定款作成や見直し、定款変更に際しては、医療法に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

内部規約

医療法人においては、労使関係、インフォームド・コンセント、個人情報の取扱い、患者からのクレーム対応など、日常的に多様な課題への対応が求められます。

特に、医療機関は患者の診療情報、すなわち「要配慮個人情報」とされる極めて秘匿性の高い情報を取り扱うため、その管理体制については厳格な対応が必要です。この点については、個人情報保護委員会や厚生労働省が公表している『医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス』等に則った安全管理措置を講じることが求められます。

こうした管理体制を構築・運用するには、内部規約や「個人情報の安全管理措置マニュアル」等を策定し、医療従事者に対して周知徹底を図ることが有効です。それにより、トラブルの未然防止や、対応の標準化が可能となります。

しかしながら、定款と同様に、これら内部規約やマニュアルの重要性を十分に認識している医療法人は多くなく、法改正や最新の行政通達を反映していないインターネット上の雛形をそのまま使用し、作成後も見直しを行わず放置しているケースが散見されます。

医療法人ごとに対応すべき課題や組織形態、運営方針は異なるため、各法人の実情に即した内部規約を策定することが不可欠です。また、医療関連法令は改正の頻度が高いため、常に最新の法令・通達等を把握し、規約内容に反映させておく必要があります。これにより、法的リスクを回避し、トラブルを未然に防止することが可能となります。

したがって、内部規約やマニュアルの新規作成・見直しにあたっては、各医療法人のニーズに応じ、最新の法令を踏まえた実践的な提案が可能な弁護士に相談することを推奨いたします。

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