医療法人の出資持分を株式会社に購入させるというスキームでM&Aを行った事例
相談内容、事件の背景
韓国式の美容医療を日本において導入するため、医療機関の開設を考えていましたが、具体的にどのようなスキームで開設するのがよいかについての理解が少なかったため、各種M&Aの手法や法人の特質について相談を受けました。
依頼者の属性(業種、業態、従業員数等)
医師(外国籍)・株式会社
事務所として行ったこと
医療法人の高齢の理事長が事実上の引退を希望していた案件において、株式会社の出資持分の譲渡を受けるとともに、社員・役員をすべて交代させる形でM&A(出資持分譲渡契約書の作成等)を実施しました。
その後、分院展開として美容医療を行う診療所を、従前の医療法人の本店所在地とは別の場所に開設し、当該医療法人に紐づけました。
また、契約書や行政機関への提出書類の精査等、いわゆる法務DDも実施しました。
結果
M&Aは成功し、無事、診療所は開設され運営中です。
解決までの期間、コスト
約半年。
解決に至ったポイント、留意点等
引退する理事長への不動産の譲渡(利益相反取引)に加え、出資持分の譲渡先が、医療法人とは直接の契約関係のない株式会社(ただし、医療法人の社員が役員を務めていた会社)であったことから、通常のM&Aとは異なる対応が必要でした。
具体的には、役員兼務に関する誓約書を作成して都道府県へ提出するとともに、都道府県による審査の対象となる出資持分譲渡契約書についても、その記載内容を工夫しました。特に、医療法人の経営権はあくまで医療法人側にあり、出資持分の譲受会社が実質的な経営権を有するものではないことが明確に伝わるよう、契約内容を整えました。
また、引退する理事長がウェブ会議に対応できず、かつ遠方に転居していたことに加え、譲受会社の役員も海外に滞在していることが多かったため、社員総会や理事会の開催日時・場所等について、関係者のスケジュールを踏まえた綿密な調整が必要となりました。こうした調整を一つひとつ行ったことも、M&Aを円滑に進めることにつながったと考えています。
なお、小規模な医療法人では珍しくないケースですが、行政機関への提出資料や契約書等が事前に十分整理されていなかったため、法務DDにおいては、これらの資料を一から確認・整理する必要があり、慎重な対応が求められました。

